重要なのは生活の質

人生100年時代と言われる長寿の可能性を手にした今日の課題は、さらに寿命を延ばすことではなく、20~30年にも及ぶ高齢期をより豊かに生き抜くことです。私たちの主要な関心は寿命の延長という量から、よりよい生活の追求という質の課題へと大きく変わりました。そこでキーワードとなったのが生活の質Quality of LifeQOLです。

QOLは一般的に、生活の質、人生の質、生命の質と訳されます。QOLが持つ意味が広範なため、その解釈も多様です。Lifeは①生命、命、生存、②生計、暮らし、暮らし向き、③人生、生涯、生き方、生き様という三重構造があり、それは絶えざる生命維持の過程から、自己実現、生きがいといった高次の心理的活動の束として成立しているものと解釈されます。

WHO(世界保健機関)によるQOLの定義は、「一個人が生活する文化や価値観の中で、目標や期待、基準、関心に関連した自分自身の人生の状況に対する認識」となっています。通常、QOLと聞いて思い起こすことは、暮らし向きや満足感、幸福感の類ですが、それに近い概念である健康、生きがい、豊かさ、快適さといったこともQOLと同義として取り扱われることもしばしばあります。

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