人生100年時代の到来

日本の急速な高齢化の背景には、主に高齢者の死亡率の低下による高齢者の増加と急速な「長寿化」を実現できたことにあります。それは医学の進歩、公衆衛生の発展、国民の健康意識、日本人特有の食生活、生活環境の改善など、さまざまな要因からもたらされた喜ばしい結果と言えます。日本人の平均寿命は、終戦後の1947年当時は男性が50.06歳、女性が53.96歳でしたが、その後右肩上がりに延び続け、2015年時点には男性が80.79歳、女性が87.05歳までになりました。このように20世紀後半から実に30歳近くも平均寿命が伸張した現象は「長寿革命」と呼ばれることがあります。

また、平均寿命は「出生時(0歳児)における平均余命」のことを指し、平均余命は「ある年齢からの平均生存年数」を意味します。したがって、現在を生きる私たちが平均して何歳までいきられるのかの目安を見る場合は各年齢の平均余命を見る必要があります。2010年段階の完全生命表(厚生労働省)に従えば、例えば、男性の75歳を見ると11.45年(現在75歳の男性にとっての平均寿命は86.45歳となる)、女性の65歳を見ると23.80年(現在65歳の女性にとっての平均寿命は88.80歳となる)です。また、安易生命表(2015)から、何歳までどれくらいの人が生きられるか、「特定年齢までの生存者割合」を見ると、男性の場合、2人に1人は84歳まで、4人に1人は90歳まで生きられる、女性の場合は2人に1人は90歳、4人に1人は95歳まで生きられると推定されています。現在は「人生90年時代」と言っても過言じゃないでしょう。さらに将来に目をむければ国立社会保障・人口問題研究所の推計によると。平均寿命は今後も延び続けることが予測され、100歳以上の人口も増加し続けていく見通しです。100歳以上の人口は。2023年では9万人ですが、2050年にはなんと70万人にまで増加することが予測されています。再生医療をはじめとする医療技術のさらなる進歩も期待されていますので、現代社会を生きる私たちの多くは、「人生100年」を歩んでいける可能性があると考えられます。

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