後期高齢者の幸せな生き方

SOCモデルは、加齢に伴うさまざまな機能の低下を認め、サクセスフル・エイジング(幸せな生き方)とは残された機能や資源を最もうまく活用して充実した生活を送ることだと考えるからです。

それは選択、最適化、補填という互いに関連した3つのプロセスからなるとされます。

選択:これまでやってきた多くの活動領域の中から、自分にとって重要で意味のある領域を選び、現状に即した新たな目標を設けて生活の方向づけをする。

最適化:選んだ行動領域にまだ残っている機能や資源を集中的に投入して、新たな目標の達成を目指して努力する。

補填:失った機能を他の機能や資源でうまく補って目標の達成を可能にする。

 

作者は、このモデルを説明する際にピアニストのルビンシュタインの晩年を例にあげました。

20世紀の名ピアニストであったルビンシュタインは、89歳で引退するまで世界中で精力的に演奏活動を続けました。

数多くの作曲家の曲を手掛け、広いレパートリーが誇りでしたが、高齢に達して身体機能の低下を認識した時に、いくつかの曲を選択して、それだけを演奏することにしました(選択)。

そして、選択した曲をそれまでの数倍の時間をかけて練習し、さらに演奏に磨きをかけました(最適化)。

また、テンポの速い部分が以前のようなスピードで弾けなくなったら、音の強弱でうまくアクセントをつけることによって補いました(補填)。

聴衆はそうした身体機能の低下を補う彼のトリックには気づかず、演奏に聞き入ったのです。

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