多くの人が70歳代後半から徐々に身体的な自立度が低下していきます。
この事実は後期高齢者が前期高齢者を数において遥かにしのぐこれからの超高齢社会における生き方、社会のあり方を考えていく上で大変重要です。
前期高齢者が高齢者人口の大半を占めていた時代に、彼らの生活に劇的な変化をもたらした「サクセスフルエイジング」のスローガンのもとに描かれた高齢者像は、必ずしも後期高齢者の現実を反映していないだけでなく、「サクセスフルエイジング」=「自立して生涯現役」という画一的な考え方を与えます。
それは人の助けを必要とする高齢者にまるで人生の落伍者のような自覚を持たせ、多くの人たちが失意のうちに最期を迎えることになりかねないという課題を惹起します。
特に長寿国日本としては世界に先駆けて、後期高齢者を射程に入れた「サクセスフルエイジング」を改めて問い直すときが来ているのです。
生きていれば、さまざまな変化に遭遇します。それらの変化に適切に対応できてこそ、人間は成長していけます。
加齢に伴うさまざまな変化に対して、どのように適応して行くかは、特に高齢期を生きる上での重要課題であり、サクセスフルエイジングの本質的な課題です。