日本学術会議が2010年に全国の大学751校を対象にしたアンケート調査1によれば、回答があった361校(国公立106校、私立255校)のうち、「ジェロントロジー(老年学)」の科目や講座、コース、専修、専攻等を「設置している」と回答した大学は140 校(38.8%)にのぼります。
約4割の大学で設置されているということで一見多いように見受けられますが、そのほとんどは、文学部の中の「高齢社会論」、看護学部の中の「老年看護学総論」、発達科学部の中の「身体機能加齢論」といった一つの科目の中に埋没してしまっているのが実態でした。
2010年段階では、ジェロントロジーを総合的に体系的に学ぶことができるのは、次の2校に限られます。それは桜美林大学と東京大学です。
では、なぜジェロントロジー教育を行っていないのかその理由を尋ねると、「担当する教員がいない」が最も多く(複数回答で49%)、「ジェロントロジーに関する情報が不足している」が次に多い(同じく39%)結果となっています。
ちなみに、ジェロントロジー教育が先行している米国では、大学及び大学院において264のジェロントロジー教育プログラムが確認されています(2009年時点)。
米国でこれだけの数のジェロントロジー教育が行われている背景には、1965年に国策としてジェロントロジー教育及び研究が推進されたこと、そしてジェロントロジー教育を司る「ジェロントロジー高等教育機関Association for Gerontology in Higher Education(AGHE)」の存在があります。
日本でもこうしたジェロントロジー教育を推進する政策や機関の創設が期待されるところです。