今回は、国が私たち高齢者に対してどうのように考えているのかを紹介したいと思います。
これは、内閣府の高齢社会対策の基本的在り方に関する検討委員会から抜粋したものであります。
まず初めに、基本的な考え方から紹介します。
「長寿社会の構築は、世界中において希求され、絶え間なく追及されてきたものである。我が国は、戦後の経済成長による国民の生活水準の向上や、医療体制の整備や医療技術の進歩、健康増進等により、平均寿命を延伸させ、長寿国のフロントナンナーとなった。このことは、我が国の経済社会が成功した証であると同時に、我が国の誇りであり、次世代にも引き継ぐべき財産といえる。」としています。確かに昔の人は偉かったと言えます。
地域力・仲間力の弱さと高齢者等の孤立化
高齢者は、家族や親族と力を合わせて自分の、周りのことは自分で行うなど自分の可能性を最後まで追求するという自己責任を前提とした「自己力」を拡大させ、社会はそれを支える「社会の下支え」を強化することが必要である。さらに、それらの仲間の領域において、高齢者を支える力が弱いため、地縁を中心とした「地域力」や今後の超高齢社会において高齢者の活気ある新しいライフスタイルを創造するために、地縁や血縁にとらわれない「仲間力」の構築が課題であると言える。
特に男性高齢者については、退職して会社組織とのつながりがなくなった後、自分の居場所が見つからず居住地域のなかで活躍する術を知らず孤立化してしまう状況がみられる。その背景には、会社での立場や人間関係を重視してきたために、他のバックグランドを持つ人とのコミュニケーションが苦手であるという男性高齢者特有の傾向もある。
高度経済成長をするなかで、都市でも地方でも地域社会が崩壊し、精神的には地域社会全体の地縁、物理的には地域で生活するインフラが失われた。このように、地域社会のなかでの人間関係を含め、地域力や仲間力が弱体化し、喪失するなかで、社会的孤立や孤立死の問題がでてきたといえる。
また、身体能力の低下に伴い日常的な外出を控えがちな高齢者は、社会とのつながりも希薄化する。さらに介護の面においては、要介護が急増し、核家族化等の世帯構造の変化に伴い、家庭内での老老介護も増えており、介護者の負担感が増加している。家庭内だけの支える力には限界があるなか、そうした家族を支えるという点からも地域のつながりを構築することが課題である。