重大な病気や事故がなく、いわゆる寿命を全うした場合の老化が生理的老化(正常老化)と考えられる。この生理的老化に伴い人間の身体に起こる変化は、構造的には萎縮、機能的には低下が原則となるが、個々の変化にはさまざまなものがある。
①外観の変化: 個人差はあるが、身長の低下、姿勢の前屈、頭髪など体毛の減少、白髪の増加、皮膚の乾燥、しわ・たるみ、色素沈着(しみ)、老人環(角膜周辺部の輪状白濁)などが見られるようになる。
②体力・運動機能:筋力、バランス機能、持久力、柔軟性、など各種運動機能は青少年期にピークがあり、その後は加齢により低下傾向を示す。
ただし、機能により変化の経過は異なり、個人差も大きい。
スポーツ庁平成30年度の新体力テストの結果では、体力・運動能力の総合評価の指標となるテスト合計点は、男性では17歳、女性では14歳でピークとなり、その後の成人期(20~64歳)そして高齢期(65~79歳)には直線的に低下する。
項目別では、多くは10代にピークがあるが、握力は青年期も向上して30歳代にピークを示すことが報告されている。なお、高齢期に注目すると、バランス能力と歩行能力は直線的な低下、筋力と柔軟性は比較的穏やかな低下を示す傾向にある。